筆者は福井で生まれ育った人間だけど、福井を代表する映画館『メトロ劇場』には一度も入ったことがなかった。そもそも滅多に映画を見ないし。最近はテレビすらあまり見なくなり、もっぱら動画だったりする。テレビ局の人が手間暇かけて制作した番組よりも、個人で作った動画の方が面白いというのもなんとも皮肉な話ではあるが、そういう時代なのだからしょうがない。人の好みも多様化しているからねえ。
個人的には映画はほとんど見ることはなく、8年前に金沢の映画館で見た『ダンシングチャップリン』以来である。
ダンシングチャップリンの前に映画を見たのがさらに10年前なので、結論から言うと20年間で2回しか映画を見てないんだよなー。
去年『この世界の片隅に』のDVDを借りて見たが、原作の漫画を読んだ後だったので、これも結局最後まで見なかったねえ。漫画なら読めるんだけど。
映画を見ない理由はいくつかあって、そもそも興味がないものあるのだが、本編の前の予告映像がうっとうしいのと、エンドロールがやけに長いのが・・
前置きはさておき、今回映画を見たのは、映画に興味があった訳ではなく(たまには見てみたいといった思いはあったが)、9割方メトロ劇場に一度入ってみたかったという動機だったが、何はともあれ入ることにした。
メトロ劇場は、福井市片町の雑居ビルの4階にある。見るからに相当年季の入った建物で、wikipedia情報によると、映画館自体は66年前の1953年(昭和28年)開館で、この建物は1971年(昭和46年)建築の2代目とのことで、それでも48年前の建物である。
個人的には「メトロ」と聞くと、「レトロ」なイメージが強いのだが、おそらくこのメトロ劇場と、「メトロこうべ」の影響ではないかと思う。このビルの特徴ともいえる、幾何学模様の鉄窓にあしらわれた外観は戦後モダニズム建築を代表する建物と言っても過言ではない(笑)。
ちなみに、かつて福井市中心部には、福井映画ビル(現在北國銀行福井支店に絶賛建替え中)、福宝会館(成人映画)もあったが、上記2館は既になく、このメトロ劇場とテアトルサンク(昔はテアトル福井)が残るのみである。金沢ですらかつて映画館が建ち並んでいた香林坊のシネマストリートと呼ばれる界隈はすっかり駐車場と化している(香林坊109にシネモンドというミニシアターはあるが)。そう思うと、メトロ劇場はこんなご時世にありながらよくぞ生き残っているなと感心する。
建物入口のようす。「メトロ劇場」のロゴマークにも時代を感じる。
建物2階の様子。
3階から4階の階段部分。3階は空室となっていたが、かつては「メトロサウナ」というサウナがあったみたい。
エレベーターの中。開館66周年のラベルが。
4階受付の様子
受付ははっきり言って狭いが、奥にはソファーもあり若干の待合スペースはあった。
客席の入り口部分。扉の上に色紙が飾られていた。
シアターの様子。wiki情報によると客席は116席とのこと。薄暗いからかもしれないが、あまり古びた感じはしなかった。座席もクッションが効いていて座り心地は良かった。但し少し暑かったかも。途中で喉が渇いたのだが、むやみに席を動けないのが映画館の宿命といったところか。
今回見たのがこの映画。アガサ・クリスティー原作『ねじれた家』
この映画に興味があった訳でなく、たまたま行った時間に上映していたのがこの映画だった。
肝心の映画の中身は・・個人的な感想は、口コミサイトに書かれている評価と概ね同じ。最高傑作かといわれると、?がつくところではあるが、かといって全くつまらないわけでもなく、ある程度最後まで集中して見ることが出来たのでそれはそれで良かった。ただなあ、エンディングは「ええーっ?」と思ったけど(苦笑)。
あと、映画を見るのであれば、邦画よりは洋画、ミステリー系はまあまあ面白いということがわかった。
メトロ劇場はミニシアターだけあって、結構マニアックなラインアップで上映しているようだが、来月からあの伝説のアニメ「AKIRA」が上映されるみたい。
「AKIRA」は高校時代モロかぶりの漫画なので、めっちゃ懐かしい!
オリジナルか2019年版としてリメイクされたものかわからないが、これは是非見てみたい!
※7/14追記-AKIRA見に行きました!-
先日(7/8)仕事帰りに見に行きました(上映:19:30~)。
7/5に、AKIRAの新アニメ化に関する発表があった中で上映されるとは、メトロ劇場も持ってるね(笑)。
土・日は満員だったそうだが、この日(月曜日)は4割程度だった。
おそらく県外から来ている人も多かったと思われる。
年齢層は若い人が多かったが、若い人は「AKIRA」をどこまで知っているのか?
かくいう自分も、当時高校の友人の持っている単行本をかじった程度で、お世辞にも詳しいわけではなく、不良少年がバイクを乗り回しているイメージしかなかったので、通しでストーリーを見るのは初めてだった。
1988年公開で、31年後(2019年)のネオ東京を描いた作品だが、近未来とはいえ未来を描くのはなかなか難しいというのが伝わってきた。やはり時代を感じるのは否めなく、結構昭和な感じがしたのは気のせいか。ストーリーそのものよりも、作者(大友克洋)が未来をどのようにイメージしていたかという時代考証の面で非常に面白く見ることができた。
それにしても、最近はSF映画ってあまり聞かないのだが、自分が知らないだけなのか?
それにしても、20年で3回しか映画を見ていない人間が、1ヶ月で2回も映画館に行くとは・・