富山・総曲輪地区の再開発状況について現在の状況をいくつかレポートしているが、今回は2015年にオープンした複合施設、通称富山キラリについてレポートしたいと思う。
◆富山市再開発地区位置図
https://www.city.toyama.toyama.jp
◆西町南地区(通称:富山キラリ)
https://www.city.toyama.toyama.jp
■事業概要
所在地 富山市西町5番1、太田口通り一丁目2番7
地区面積 約0.70ヘクタール
建築敷地面積 約4,145平方メートル
延床面積 約26,794平方メートル
規模構造 地下1階、地上10階、S造
用途 業務施設、公益施設(図書館・美術館)、駐車場
総事業費 約182億円
竣工 H27
富山キラリは、RIA(アールアイエー)、隈研吾建築都市設計事務所、三四五建築研究所の企業共同体により設計され、平成27年8月に全館オープンした。
建物には、富山市立図書館本館、富山市ガラス美術館、富山第一銀行本店などが入居している。
◆完成後(2015.11)の様子
この写真は、最近(2020.8)撮影したものではなく、完成後の2015年11月に撮影したものである。
5年前に撮影に来たのは別の理由もあったのだが、それについては別のブログで紹介します。
平和通り(大和富山店、グランドプラザ前)から見た様子
平和通り右側やや奥に見えるシルバーの建物が富山キラリ。
左側に見えるのが大和富山店
元々大和富山店は富山キラリの場所にあり、再開発事業に伴い平成19年度に現在地に移転したものである。
中央のガラス張りの部分がグランドプラザとという全天候型屋外広場となっている。
右はグランドパーキングという主に立体駐車場(一部商業施設、住宅)で、こちらも再開発事業で整備されたものである。
グランドプラザの中はこんな感じ。大和富山店などと同じく2007年(平成19年)に完成した。広さは約1,500㎡で、反対側には大型ビジョンも設置されている。総曲輪地区の賑わい創出を目的に富山市が整備を行い、現在では休憩スペースやイベント広場など多目的に利用されている。稼働率は非常に良いみたいです。
福井のハピテラスと非常によく似ている。というか、グランドプラザの成功を見てハピテラスがパクったものと思われる。
※この写真は最近(2020.8)撮影しました
グランドプラザの前から富山キラリをのぞむ。
ちなみに富山キラリと横の西町パーキングを入ったところに、富山ブラックで知られる中華そば「大喜」がある。個人的には富山ブラックは好きではないので入ったことはない。
富山市はガラス工芸が盛んで、呉羽に富山ガラス工房がある。まちなかにこのようにいくつか作品が展示されている。
外観の様子。
ガラスの壁面の外側に、アルミのルーバーを用いているのが特徴的である。いかにも隈研吾といった感じのするファサードデザインとなっている。
下から見上げた感じ。
中の様子。
アトリウムになっている共用スペースは撮影できたと思うが、図書館内および美術館は撮影できない。
当時は美術館内(常設展示)も撮影できたと思うのだが、HPで確認したら現時点ではNGみたいです。作品を見たい人は美術館に足を運んでください。
入口部分には旧大和百貨店の壁面の一部がレリーフとして残されている。
なんというか、外観同様いかにも隈研吾といった感じの空間となっている。無垢の板をルーバーとして多用しているのが大きな特徴となっている。個人的には無垢(白木)は好きな素材なので、こういう空間は良い。天井が高く、非常に広い空間となっている。
福井の開花亭sou-anでは、ファサードに木のルーバーを用いていて、劣化が著しいのだが、このように屋内であれば問題ないと思う。
細かな説明はこの辺りにして後は写真を紹介します。
展示室の様子も少しだけ紹介します。
いかにも美術館と言った佇まいが感じられる。
◆富山(総曲輪)の再開発はうまくいっているのか
・・こんな感じで3回に分けて富山(総曲輪)の再開発状況についてレポートしたが、福井と比較すると再開発に取り組む時期も長く、かつイレ込み具合が全然違うのを感じる。総曲輪だけでこれだからね。
そもそもどうして富山市がここまでコンパクトシティ構想に力を入れるのか、その理由については他の記事などを参考にしてもらえればと思うが、一番の理由は「税収」とのこと。都市経営の観点でいうと、中心市街地への集中的な投資は、税の還流という観点からも合理的でかつ効果的らしい。ここでいう税収とは主に固定資産税と都市計画税。そのため「地価の維持」も大事みたい。都市計画的な観点でいえば、土地利用・福祉・交通もしくは街の賑わい創出といった面を重視しがちだが、行政サイドとしても案外費用対効果の高いものなのだろう。
もっとも、コロナの影響もあると思うが、ユウタウン総曲輪でも空きテナントが見受けられるなど、先行きは不透明なところもあるので、今後も走り続けるしかないと思うが、同じ北陸の県庁所在地として頑張って欲しいと思う。