週末の3日間は研修で京都にいたが、なにげに京都で宿を取るのは久しぶりだったりして。ちなみに4年前に2度宿泊したが、当時京都市内でほとんど宿が空いていない状態で、仕方なくゲストハウスに1泊、昔ながらの和風旅館(素泊まり)に1泊した。めちゃくちゃ安かったのだが、ペラペラのせんべい布団しかなくて、体調を悪くして帰ったのを覚えている。快適さだけで言えば、カプセルホテルの方が断然良い。
今回は、前回の反省も踏まえて1ヶ月前に予約したのだが、ホテルの場所が微妙に悪くて、結構京都市内をタクシー移動したものだから無駄にお金かかったねえ。烏丸今出川から左京区(北白川)への交通手段がないというのが痛かった。
じゃあ、どうしてこのホテルを選んだかというと、いろいろあるのだが、安かったこと、大浴場があるということ(これ大事)、そして御所の横にあるというロケーションが気に入ったこと、そんなところだろうか。
烏丸通りの様子。奥の緑に囲まれた場所が京都御苑。
蛤御門の変で知られる蛤御門。
あと、烏丸丸太町から烏丸今出川にかけては、明治期以降に作られた近代建築が数多く残っているのがよい。
大丸ヴィラ(ヴォーリス建築、1932年竣工)
日本聖公会 聖アグネス教会(J・M・ガーディナー設計、1898年竣工)
同志社大学今出川キャンパス
少し離れたところには京都府庁もある(明治37年竣工)
そんな烏丸通り界隈だが、今回泊まったのは、「御所西京都平安ホテル」。
実はこのホテルには、植治こと7代目小川治兵衛が手がけた庭園がある。
以下引用するが、公家屋敷の庭園として江戸時代に造られた池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の代表的な名園で、広さは約500坪ある。
日本庭園の作庭で名高い小川治兵衛氏の手により改造された。 庭園の中央の池には石橋が架かり、滝が流れ落ちまた築山をもうけ、四阿(あずまや)を配し、周辺との見事な調和を保っている。 また京都名産の鞍馬石や加茂川石、白川石などが要所に使われ、これらがひとつになって素晴らしい景観を呈している。
ロビーからの眺め
植治の庭には手前に芝生広場が設けられていることが多い。
石橋は地元の白川石が用いられている。
池の奥にある四阿と雪見灯籠。
井筒から水があふれ出てせせらぎを作っている様が泉が湧いているようでなかなかにくい演出である。
無鄰菴でもそうだったが、遣水の流れが非常に浅い。
飛石は鞍馬石が用いられている。
四阿とその向かいにあるつくばい。四阿の壁にベンガラがあしらわれているのが景色にインパクトを与えている。
敷地の奥には築山が設けられ、滝から水が流れている。
庭の奥からホテルを望む。
個人的に見た植治の庭の良さは、芸が細かいところというか、繊細さから来る上品さが感じられるところだろうか。特に飛び石や水景(滝からの流れなど)にそれが現れているような気がする。あとは和風庭園でありながら庭全体が明るいところ(芝庭を設けているのもそのためだと思うが)が好印象かなと思う。
なお宿泊料金であるが、筆者が予約したときは平日(金曜)7,000円だった。時期的に8月下旬だったからこれだけ安かったのかわからないが、7,000円でこれだけのホテルに宿泊できるのであれば不満はない。ここ数年京都では空前のホテル建設ラッシュで、ホテルに若干余裕ができたのもあるかもしれない。
植治が手がけた庭園のあるホテルで言えば蹴上にあるウェスティン都ホテルが有名だが、ここはある意味穴場ではないかと思う。植治の庭に興味のある人は一度宿泊することをおすすめします。
過去のブログで無鄰菴について記載しています。
※追記(2022.5.19)
ニュースによると何でも6月末で閉鎖するとのこと。いろいろ揉めているようだけど、これほど立派な庭園を有するホテルの廃業は残念です。