ROKUZAEMONの隠遁生活

まち歩きしながら感じたことを中心に書き留めています

公園の中の自然

前回に引き続き鶴見緑地である。 

鶴見緑地は公園緑地に求められる要素がいろいろ凝縮されており、また良くも悪くもメンテナンスが行き届いていない点もあり、公園緑地のあり方をいろいろ考えさせられる公園であった。

公園緑地には大きく4つの機能があるといわれている。環境保全、レクリエーション、防災、景観の4つである。筆者は人間の生活の視点に立つと、中でもレクリエーションと景観の2点が重要ではないかと考えている。なぜなら、レクリエーションと景観は、人間の感覚や欲求に直接作用する機能であり、特に公園の利用を考えた場合、この2点が優れていないと誰も利用しないからである。環境保全は非常に重要であるが、公園の中で見て感じるものではなく、頭で理解するものである。生物多様性については多くの植物を取り入れたり、ビオトープのような自然を観察できる場所により見聞が可能であるが、こと地球温暖化については、夏場の暑いさなかはともかく普段公園にいて実感することは少ないのではないだろうか。ちなみに花博のあった平成2年はとても暑い年で、しかも大阪市内よりも花博会場のほうが暑かったといわれたくらいである。会場での気温が40度を超えたのでは地球温暖化に効果があるとはいかにも説得力がない。

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園内に自然体験観察園なるものがあり、要は昔ながらの田園風景を模した場所で、稲や野菜やハスなどを植えている場所である。ここだけ見ていると大阪っぽくないが、大阪には他にも里や里山の風景を取り込んだ公園や広場がある(梅田スカイビル庭園など)。都会のど真ん中にいると自然に回帰する傾向が現れているのかはわからないが、ビルの谷間にいる人にはほっとする場所であろう。

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石積みと法面の雑草の生え具合、ぬくもりを感じる曲線がルーラルランドスケープといったところか。実は金沢にもこなん水辺公園なる似たような公園が存在するが、こちらのほうが景観的には優れている。

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こういうせせらぎは、作れそうで作れないと思う。水の量をしっかり計算しないとここまでのことはできない。川から引き込んでいるのか、まさか水道水ではないと思うが・・

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こういう橋は個人的にはお気に入りである。小さいけど景観のアクセントとなっている。

 

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惜しむらくはポンプが壊れていること。あまり写真には収めなかったが、外国庭園や木製橋、サインなどは結構傷んでいた。20年経つとはいえ平成ですよ。こんなに傷むものなのか。

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鶴見緑地は面積が約120haもあり、かつ大半が池であったり広場であったり森であったりしており、スポーツ広場やスタジアムなどが中央に鎮座する公園ではない、自然が中心の公園である点が特筆すべきである。その中でも、ここの大芝生は本当にでかい。芝生広場だけで10ha以上はあると思う。

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間仕切りの意味もあるのだろうが、ところどころ並木を入れることで空間にまとまりをつけている。奥の木はポプラだと思うが、これだけ大きな公園にもなると、木も幾らかは大きいものでないと空間としてまとまらないかもしれない。樹高20m以上はあると思う。

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こういう風景も作れそうでつくれない。設計した人はきっと自慢したくなると思う。園内の舗装をどうするかが悩むところで、できれば自然土舗装がよいのだが、排水が気がかりではある。あと、ここの園路の場合は、左側の低木と、右側の木製ベンチを少し張り出すことにより、自然にカーブを描いた踏み分け道がデザインできているのだろう。落葉のこの時期に来るのが景観的には一番ベストなのかもしれない。

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この風景も然り。

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大芝生の奥に、緑のせせらぎという一角があり、森の中を小川が流れている。この風景も自然志向が十分にあふれている。見た目自然っぽいだけでなく、生態系にも配慮されていると思われる。護岸には不整形の小石を並べて勾配も極力緩やかにしている。ここも水の量が絶妙にコントロールされており、少なすぎず、それでいて流れを感じられるようになっているところはすごい。中の捨石も間仕切りの役割を果たしており水量をコントロールするのに重要である。

自然というものの持つ景観の役割は、花に代表される非日常的な要素(演出された景観)とその他の日常的な景観であり、特に田園風景・里山景観というのは人の生活と自然との協働により作り出されてきた風景である。自然だけど適度に手入れされ、こざっぱりとしている。普通なんだけど見ていて飽きない、落ち着きを感じるといったところであろうか。それに加え四季の移ろいが人の心を動かすのであろう。そういう意味では、景観的には非常に優れた公園であり、散策する人の心を満たしてくれるに違いない。

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公園の外周園路。普通といえば普通であるが、このような道もありそうでない。園路の右側は工場が立ち並ぶ住工混在地域で、ここだけが別世界であった。

こういうところで生活したいものです。