ROKUZAEMONの諸行無常

田舎でひっそりと暮らしています

早朝の軽井沢散策-中軽井沢別荘エリア・星野リゾート界隈を歩く-

久しぶりの投稿である。旅らしい旅をしたのはホント久しぶりだなあ。コロナというのもあるのだが、家族が病気で正直遠出できる状況ではなかった。親が退院してようやく出かけられる雰囲気になったので、1泊2日の小旅行だが出かけることにした。

北陸新幹線で上田まで行き、そこからしなの鉄道(かつての信越本線)に乗って、お宿がある中軽井沢駅に到着。

旧国鉄の車両(115系)。湘南カラーとかいう塗装色だと思う。

駅舎?がメチャクチャ立派。「くつかけテラス」という複合施設らしい。

ただ立派なのだけど、店舗らしいものが全くない。コンビニくらいあっても良いと思うのだが。

宿泊したお宿は「くつかけステイ中軽井沢」という、古民家を改装した建物。駅から近いので良かった。

写真は朝食の様子。和食メインで非常に上品な料理のお店だったが、筆者的にはもっとがっつりしたものが食べたかったので、食事は別でも良かったかなあ(実際夜中にお腹が空いて大変だった)。うちの両親には喜ばれそうなお店だった。

ちなみに、駅舎にもお宿にも「くつかけ」という名称がついているのだが、元々このあたりは中山道の沓掛宿が置かれていた場所とのこと。

本当は着いた日の夕方に軽井沢を散策したかったのだが、雨だったのと、上田で無駄に時間を使ってしまい軽井沢に到着したのが夕方だったのでできなかった。ということで、翌朝早朝(6時頃)に1時間程度散策した。

宿から西に数分程度歩くといわゆる別荘エリアに入る。

いきなり別荘(というより迎賓施設?)が現れた。これは立派。

こちらの別荘はやや小ぶりではあるが最近できたもののようで行ってみたくなる感じがする。

軽井沢が福井と決定的に異なるのが、カラマツ林に覆われたこの森の雰囲気だと思う。こういう風景は北陸にはないんだよね。あと、舗装されていない道が非常に雰囲気を出している。

居住しているとおぼしきお宅もちらほら。

こういう森に囲まれた家は、プライバシー確保の観点からも良いと思う。

但し、維持費はかかりそう・・自分なら貸別荘借りるかなー。今回はホテルに宿泊したが、1回は泊まってみたい。

そうこうしていたら、知らないうちにホテルの敷地に入り込んでいたみたい。

 軽井沢ホテルブレストンコートというリゾートホテル、というか星野リゾートの宿泊施設だったみたい。

但し、敷地内にある「軽井沢高原教会」は部外者でも立ち入り可能とのこと。

三角屋根の小さな教会だが、小洒落た建物で軽井沢らしい建物というか。ここで結婚式を挙げたいというカップルもいると思います。

このアングルからの雰囲気が良い。

園内が非常によく手入れされていて、気持ちが良い空間。手前のシラカバなんかは後から植栽したと思われるが、高原らしさを演出したくてこのような植栽にしたのだろう。

通り(国道146号)に出ると、「ハルニレテラス」というレストラン・カフェなどの施設があった。

ベーカリーカフェでは朝の7時から営業しているみたいで、何なら朝食食べても良かったな。(このとき朝の6時50分頃で、メチャクチャお腹空いてた)

ちなみに、このあたりは軽井沢の中でも「星野」エリアと呼ばれる一帯で、上記のような小洒落た建物は全て星野リゾートの建物だったりするのだが、元々「星野」という地名だったとのことなのか?社長が星野さんだから「星野リゾート」だと思っていたのだが、どうなのだろうか。

同じく国道沿いにステーキハウスがあった。信州と言えばそばとかヘルシーなメニューが目につくが、それだけだとお腹が空くのよね・・結局行かなかったけど、次回来たときには是非とも訪問したい。

このお馬さんがシュール・・
1泊2日の小旅行で、他には草津温泉などにも行ったが、今回の旅行はこの朝の1時間の散歩に凝縮されていた。この雰囲気を味わいたいんだよね。次回は貸別荘で何泊かしたいと思います。

2022奈良・京都新春初詣ツアー(その1)薬師寺・唐招提寺

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

ほぼ1年ぶりの投稿になります。

昨年は諸事情であまり投稿できなかったのだが、今年はぼちぼち再開したいと思います。

正月は、毎年恒例となっている初詣ツアーに行ってきた。昨年はコロナで行けなかったので2年ぶりになるのだが、今年は奈良に行くことにした。

別のブログで書いたのだが、昨年は正直良くない一年だった。その理由としてあまり神社に参拝できなかったのが原因ではないかということで、今年は御利益が得られそうな神社仏閣にお詣りすることにした。

サンダーバードで京都駅に行き、そこから近鉄特急で西ノ京駅に向かう。

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この駅を通過したことは何回もあるが、降りるのは初めて。改札が地下にあり駅舎もこじんまりとしている。

目指すは世界遺産の薬師寺と唐招提寺。小学校の修学旅行で行ったことはあるものの、個人的に訪れるのはこれが初めてである。前回行ったのも40年ぶりなので正直ほとんど覚えていない。

◆薬師寺

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単なる観光ではなく、初詣に来たので、まずはじめにお詣りをする。新春護摩祈願というのをやっており、筆者も祈願することにした。運良く1人だけで祈願できた。「開運招福」と書いた護摩木を火の中にくべて祈祷するもので、新年早々貴重な経験ができた。

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その後金堂で運良くお坊さんの講話と読経を聞くことができた。講堂にある吉祥天女像の如意宝珠に向かって願い事をお祈りしなさいといわれた(写真の上の絵が吉祥天女で、左手にあるのが如意宝珠)。せっかくなのでお守りとして購入した。

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赤いガラス状の玉の中に鈴が入っており、風鈴のような涼やかな音がする。これがあれば願い事が叶うかも?

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境内の様子。左が金堂、右が東塔。

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金堂。昭和51年(1976年)に再建されたもの。

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東塔(白鳳時代創建、国宝)

自宅に帰って改めてリーフレットを見てみると、この東塔のみが創建当時から残る建物で、金堂や反対にある西塔は最近再建されたようだ。知らなかった。あと、東塔の奥、回廊の奥にある東院堂という建物も鎌倉時代に再建された古い建物なのだが、うっかり見落としてしまった。

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こちらが西塔。昭和56年(1981年再建)。色彩がカラフルな建物は新しいということか。

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境内の外に出ると両方の塔の並びがよくわかる。伽藍配置の寺院建築を見ると奈良に来た感じがする。

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余談だが土塀の朽ちた感じがすごく良い。

 

◆唐招提寺

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薬師寺を参拝した後は唐招提寺へ。歩いて行ける場所にあるのが良い。

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この、生活道路に面して入口があるのが意外だった。

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この看板が渋い。

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唐招提寺と言えばこれ。金堂と言うよりは天平の甍の表現の方がしっくりくる。簡素にして美しく、偉容を備えた様はさすがとしかいいようがない。(語彙力が・・)

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唐招提寺は金堂が圧倒的に有名なのだが、それ以外の建物も古い建物で、講堂や鼓楼、宝殿なども国宝に指定されている古くから残る建築で、薬師寺よりも落ち着いた雰囲気が感じられた。

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国宝の講堂。写真にはないが、講堂にある千手観音像には圧倒された。仏像としての造形美もさることながら、手を千本つくろうと思う発想がすごい。

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左が鼓楼(国宝)で右が東堂/礼堂(重要文化財)。

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手前(左)が宝蔵、奥が経蔵(いずれも国宝)。

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校倉造りも奈良時代の象徴的な建物で、この建物も奈良に来た感じがしてすごく良い。

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あと薬師寺と違うのが、境内に緑が多い、一瞬京都のお寺を歩いているような感じがする。

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特にこの苔庭。鑑真和上御廟に向かう参道脇の様はとても美しく、ここだけ見ると京都ではないかと思う。奈良にこれほど素晴らしい苔庭があるとは。写真で見るとわかると思うが、普通のコケよりも白みがあり、絨毯を敷いたかのような美しさである。

・・ということで、第1弾として薬師寺・唐招提寺を紹介しました。実質初めて来たようなものだが、どうして今まで行かなかったのかと思うくらい良い場所で、特に唐招提寺は本当に良かった。人がそれほど多くなかったのも良かった。初詣での場所としてはベストな選択だったと思う。近いうちにまた来たいと思います。

早春の千里浜・氷見ドライブ-後ろめたさはあったけど-

世間では、先週末からゴールデンウィーク改め「stay home週間」と称して、不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。皆さん不要不急の外出は控えてください。私も出かけないようにしたいと思う。

思い起こせば、3月中旬から20日前後は「コロナ疲れ」といって、結構多くの人が行楽に出かけていたようだが、その後急激に感染者が増加した。自分もそうだが、あのとき出かけた人は多いと思うし、出かけたことで残念ながらもらってしまった人もいると思う。特に最初の頃にもらった人は世間のバッシングもひどかったが、やり過ぎだとは思うが反面抑止力にもなっていると思うので一概に批判はできない。それだけみんな不安なのだと思う。

この写真は、3月中旬にどうしても我慢できなくなって能登・富山方面にドライブしたときのものである。3月中旬と言えば某総理夫人が宇佐神宮に参拝したことが話題になっているけど、筆者もそのときにドライブ行ってます。ごめんなさい。3月中旬は特に富山県は感染者がいなかったし車での移動なので大丈夫かと思って出かけたのだが、軽率だったと思う。まあ、でもせっかく出かけて写真を撮ってきたのでブログにあげたいと思う。

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千里浜をドライブしたのは5年以上ぶりだと思う。この日は特に午前中の天気が良くて、絶好のドライブ日和だった。

千里浜は浸食がひどくて、いずれドライブできなくなるのでは?とも言われているが、この日ドライブした限りでは、砂浜の幅はまだ確保されているように感じた。

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GW期間中は県境近くで県外ナンバーの車をチェックする自治体もあるようだが、このときも関西・東海方面のナンバーも見かけた。ちなみに筆者の車は金沢在住時代に購入したので、現在でも金沢ナンバーだったりする。

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千里浜から国道415号(神子原経由)で氷見に向かう。

氷見に来たのはもっと久しぶりで、平成25年以来(7年ぶり)である。金沢在住時は仕事でしょっちゅうきていたのが嘘のようである。

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小腹が空いたので道の駅で氷見うどんでも食べることにした。ちなみに7年前にも立ち寄っていて、そのときは寿司(寒ブリ)ばかり4皿食べたように記憶している。

https://www.rokuzhermit.com/entry/2013/01/14/himi

 

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氷見うどんは稲庭うどんに似ていて、細くてかつこしのあるのが特徴である。冷やして食べる方がおいしいと思う。

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店内の様子。まあ、人多かったですよ。マスクしていない人も一杯いたし。この時期にこんな場所に行く人間が何を言ってもしょうがないのだが。そもそも食べるときはマスク外すし。

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海沿いに海越しの立山連峰を展望するための展望台があったので昇ってみた。

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展望台から広場を見た感じ。

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ぽつんと浮かぶ島は唐島。その奥には立山連峰が見える。

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 広場の北の方に断崖絶壁の場所があるが、ここは「阿尾城跡」という、知る人ぞ知るおすすめスポットだったりする。

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この場所は、古代より「英遠の浦(あをのうら)」と呼ばれた景勝地で、越中国司だった歌人大伴家持が 「英遠(あを)の浦に 寄する白波 いや増しに 立ちしき寄せ来  東風(あゆ)をいたみかも」と和歌を詠んだ場所としても知られている。

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途中の園地では水仙の花がたくさん咲いていて見事だった。

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阿尾城址を語る上では、この地質は外せない。東尋坊のような火成岩(マグマが冷やされてできた岩石)とは異なり、こちらは砂やシルト(粘土以上砂未満の細かい土)といった堆積物が固まってできた岩なので、結構もろいと思うのだが、どうすればこのような断崖絶壁になるのだろうか。加賀市にある加佐の岬も似たような地質だった気がする。

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断崖絶壁の土を切り刻んでつくられた階段を登るとてっぺんに到達する。

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阿尾城址より先ほどの展望台(および氷見市街地)を望む。

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こちらは阿尾城址から見た立山連峰。先ほどの展望台よりも、ここから見る立山連峰のほうが見事だった。

せっかく氷見に来たのでもう1ヶ所懐かしい場所に立ち寄ることに。

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前に突き出た展望台が特徴的なのが、氷見市海浜植物園。建築は長谷川逸子・建築計画工房。氏の作品はなぜか富山県内に非常に多い。園内は残念ながらリニューアル中で入れなかった。上の展望レストランは営業していたので行けば良かった。

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海浜植物園は名の通り海沿いにあり、海添いの松林を抜けると・・

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ここの砂浜もあまり知られていないというか、穴場的な場所なんだけど、個人的にはお気に入りの場所である。

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同じ北陸でも、富山湾は海が穏やかなのが良い。水もきれい。

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天気が悪くなったので立山連峰が少し雲に覆われてきた感じなのが残念。

・・まあこんな感じで特にあてもなくぶらぶらとドライブしただけだったが、天気も良く2月以降しばらくじっとしていただけあってストレス解消にはなった。但し前回の九州旅行もそうだけど、もしかしたら感染していたかもと思うと、なかなか危険な行為なのは間違いない。富山はずっと感染者がゼロだったんだけど、3月30日に1人目が出てからというものの、今では170人以上感染者がいるという(怖)。行くのが1週間遅かったら自分も感染していたかもしれない。

ということで、GWは自宅周辺でおとなしくしたいと思います。でも早く解除になってドライブしたい! 

植治の庭探訪(5)長浜慶雲館-港と鉄道乗り換えの迎賓館-

今週は植治の庭をシリーズで紹介しているが、今回は長浜にある慶雲館である。冬の盆梅展で有名だと思います。

お庭の紹介の前に、慶雲館を語る上では立地条件が結構重要となるので先に紹介したい。

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出典:長浜駅周辺観光マップ(抜粋) 

https://www.biwako-visitors.jp/guide/detail/81?city=601

場所は、JR北陸本線長浜駅よりやや南にあり、北国街道や黒壁スクエアなども徒歩圏内である。

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慶雲館の前には旧長浜駅がある。現在は長浜鉄道スクエア(鉄道博物館)となっている。

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旧長浜駅舎はこんな感じ。

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旧長浜駅舎から見た慶雲館。今回紹介する慶雲館は、旧長浜駅のすぐ隣にあるのが大きな特徴である。

慶雲館は、明治19年(1886年)秋、明治天皇皇后両陛下が翌年京都行幸啓の帰路に大津から船を利用し、長浜に上陸されるのを機に、長浜の実業家である浅見又造が私財を投じて天皇の行幸施設として整備した施設である。

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長浜鉄道スクエアに展示してある当時の鉄道敷設の様子(地図)。明治19年当時は大津から船に乗って長浜に向かい、そこから鉄道で関ヶ原方面に向かうルートとなっていた。

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明治20年頃の長浜駅周辺の模型が展示されている。長浜駅の向かいは琵琶湖に通じる入江で、慶雲館も隣接して建てられているのがわかる。

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慶雲館の様子。慶雲館のすぐ脇に船が係留している。

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慶雲館の入口。

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敷地から向かって右手(琵琶湖方面)に、「旧長浜港跡」の石碑があった。

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前置きが長くなったが、ここから園内の様子を紹介する。まずは前庭の様子。

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これまで紹介した京都の庭園とは異なり、灯籠や景石の一つ一つが非常に大きく、一見すると同じ植治が作庭したお庭とは思えなかった。

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建物の玄関の様子。入口付近は華美さはなく落ち着いた佇まいである。

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2階の様子。明治天皇・皇后両陛下をお迎えするための「玉座の間」がそのままの状態で残されている。

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2階から見た主庭の眺め。ここから見たお庭の景色は確かに植治の庭らしい。かつてはここから琵琶湖を望むことができたとのこと。

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庭もさることながら、館内に展示してある屏風や襖絵がとてもすばらしかった。

続いて1階の様子。

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この広間が非常に大きくて開放的なのが印象的である。庭を観賞することを念頭に造られたのだろう。

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庭を正面から見た様子。

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手前の灯籠とクロマツの迫力がすごい。

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主庭の様子。手前に芝庭を配して、奥に流れや築山を設けているのは他の植治の庭と同じだが、土地の起伏はこちらの方が豊かである。また景石を多く用いている。若干コテコテした感じがするが施主の好みもあったかもしれない。

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惜しむらくは流れの部分に水が流れていない点である。おそらく庭園の管理上のことだと思うが、水の流れがあると全然雰囲気が違って見えたと思うだけに残念である。植治の良さは細やかな流れにあると思うのだが・・

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 主庭から建物を見た様子がとてもよい。迎賓施設として建てられただけあり、ここでいろいろな催しが行われたのではないかと想像できる。

 京都の庭園(特に並河靖之七宝記念館)と比べると、よく言えば迫力があり、悪く言えば繊細さにかけるというのが個人的な感想だが、木が大きくなりすぎたのもあるかもしれない。もう少し木を剪定して庭の奥を透かして見えるようにすれば、庭に軽快さが出て良くなると思う。あとは水が欲しいですね。流れがあるだけで庭の印象は全く替わると思う。年数回だけでも良いので流れを復活して欲しいと思います。

植治の庭探訪(4)平安神宮神苑-栖鳳池から泰平閣の絶景を愉しむ-

筆者は学生時代4年間京都にいたが、京都にいる学生の大半はそうだと思うが、京都のお寺やお庭はほとんど行かなかったねえ。一番よく行ったお庭が淀のお庭(京都競馬場)というのがなんとも・・。仁和寺の近くに住んでいたから仁和寺はよく散歩に行ったが、境内の横にある広場でキャッチボールしていたからねえ。

あと、筆者の学生時代はデジカメなるものがなかったのが今と一番違うところで、一眼レフは持っていたけど、何せフィルム代、現像代が高くてあまり写真を撮らなかった。あの頃にデジカメがあればもっと違う学生生活を送っていたと思う(写真を撮りまくっていただろうなあ)。

本題に入るが、植治の庭シリーズ第4弾、写真は平安神宮神苑である。8年前に無鄰菴のブログをあげたが、無鄰菴を見に行った同じ日に平安神宮を訪れている。無鄰菴の次は平安神宮を紹介したいと思っていたが、 8年越しでようやくブログにあげることができました(苦笑)。

平安神宮については以下HPを引用。

1895年(明治28年)、平安京遷都1100年を記念し、遷都のおや神様である第50代桓武天皇をご祭神として創建された平安神宮。皇紀2600年にあたる1940年(昭和15年)には、平安京で過ごした最後の天皇である第121代孝明天皇が祭神に加えられ、日本文化のおや神様として広く崇敬を集めることとなりました。

ご社殿は、桓武天皇が開かれた当時の平安京の正庁、朝堂院が8分の5の規模で再現されたもの。大極殿(だいごくでん・外拝殿)・応天門(おうてんもん・神門)・蒼龍楼(そうりゅうろう)・白虎楼(びゃっころう)・歩廊・龍尾壇(りゅうびだん)などは1895年(明治28年)のご創建当時に造営されたものを修理、再建し、現在のような壮麗なご社頭がご覧いただけます。
2010年12月、大極殿など6棟が国の重要文化財に指定され、24.4mの高さがある参道の大鳥居も、国の登録有形文化財に登録されています。

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應天門

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 正面の建物が大極殿、写真左が白虎楼、右が蒼龍楼。 

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出典:平安神宮HP

https://www.heianjingu.com/party/program/

平安神宮神苑は、白虎楼側から入って、建物の周囲を回るようにして右側(神楽殿)側から出る。一方通行の順路となっている。敷地は約10,000坪あり、歩く距離もそこそこあるため、じっくりお庭を観賞しながらだと1時間近くかかると思う。

神苑は、大きく4つのエリアに分かれていて、順路でいうと南神苑、西神苑、中神苑、東神苑の順となる。最初に結論めいたことをいうと、お庭の感動度でいえば最後の東神苑が一番で、最初の南神苑はそこまででも・・というのが個人的な感想である。

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南神苑のようす。イメージ図をみると、桜を中心に花の咲く木が多く植わっているようなので、春に観賞するのが良いかもしれない。

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園内の片隅に市電が安置されていた。

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南神苑には藤棚がいくつかかかっていたため、5月頃が一番見頃かもしれない。

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西神苑は菖蒲と蓮の池を中心としたエリアとなっている。

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西神殿と中神苑の間(本殿の裏)はこんな感じ。少しうっそうとした雰囲気のところを通るが、通路に沿ってせせらぎを設けて景色を楽しむよう工夫されている。

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島を渡る飛石(臥竜橋)

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中神苑は西神苑と同じく蓮池を中心としたエリアであるが、池も大きく、中に島も設けてあり、島を渡る飛石なども配されていることから、西神苑よりもいろんな景色を楽しむことができる。

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平安神宮神苑の一番の見所は東神苑。蓮池のあった西神苑、中神苑は1895年(明治28年)造営だが、東神苑は1916年(大正5年)と20年後に造営したとのこと。

東神苑のシンボルと言えば池を東西にまたぐ2階建ての木橋(泰平閣)。もともと仙洞御所にかけられていた橋(当時京都御所で開かれていた博覧会で使用したもの)をこちらに移築したとのこと。

神苑全体の中で東神苑が一番すばらしいと思うのだが、作庭が他の苑地より遅く、植治が一番脂がのっていた頃に造営したというのが庭に現れているのかもしれない。

それにしても楼閣の上に据えられた鳳凰がものすごい存在感を出している。加えて左右に植えられているクロマツが非常に良い雰囲気を作り出している。特に右側のクロマツの枝振りが素晴らしい。

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泰平閣を正面から見た様子。仮設とはいえ御所に作られた木橋を移築したということで、品格あふれた荘厳な造りとなっている。

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これは座ってお庭を観賞できるようにするために作られたのだろうか。

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個人的には屋根裏(軒裏?)にある装飾(雲?)に目が行った。建築は詳しくないが、飛騨古川の町家建築には、軒下にこのような雲と呼ばれる装飾を施すものが多い。

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橋の上から眺める庭の景色も素晴らしい。池は大きく、東山の借景も望むことができる。

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池の中の鴨がほどよいアクセントに

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泰平閣を見た後で宇治の平等院鳳凰堂も見に行ったが、鳳凰の存在感に関しては泰平閣の方が圧倒的に上回っているような気がしたのは自分だけだろうか。

まあ、ただの感想になってしまったが、この泰平閣を見るだけでも十分価値はあると思う。あと、どの庭でもそうだが、あまり人が居るときに行くと魅力が半減するので、誰も居ない時期・時間を見計らって見に行くと風景を独り占めできる感動を味わえると思います。 

植治の庭探訪(3)並河靖之七宝記念館

植治の庭については、無鄰菴を皮切りに何回かシリーズ化したいと思っていたのだが、その後8年かかってようやく第二弾をブログにあげることができた(苦笑)。写真はいろいろ撮りためているので、これを機会にまとめて記事にしたいと思います。

今回紹介するのは、並河靖之七宝記念館である。七宝焼ってあまり知らないのだが、ペンダントなんかになっている民芸品という理解で良いのだろうか。陶芸はやっていたのでわかるのだが、陶芸と七宝焼の制作工程のどこが違うのかよくわからないなあー。どちらにも釉薬は使用するようです。

写真はちょうど2年前の9月に訪れたときのものだが、そのときは、すぐ近くにある「一澤帆布」でカバンが買うのが一番の目的で、ついでに南禅寺界隈も足を運んだように記憶している。 

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東大路通り、三条通からやや南に下ったところにお店はある。

筆者が学生時代は、周囲では結構持ち歩いている人が多かったように思う。但し当時は結構痛むのも早かったイメージがあって個人的な評価は微妙だったのだが、2年前にここで購入したショルダーバッグは、布製にもかかわらずあまりヘタることもなく、現在も愛用している。

www.ichizawa.co.jp

前置きが長くなったが、並河靖之七宝記念館は、この一澤帆布より徒歩で数分のところにある。

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建物の外観は見るからに伝統的な京町家で、ここを自宅兼工房として使用していたとのこと。

ちなみに、右側の築地塀は並河邸の敷地ではない。なんと、庭を策定した植治(小川治兵衛)の自宅だったとのこと。要するに、植治はお隣さんの家のお庭を作庭しているのである。

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通り庭の部分も建築当時そのままの状態で保存されている。天窓があり意外に明るい。

 

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屋内の様子。ガラス越しであれだが、奥にある客間にて訪問客を接遇した後に、七宝焼の商談を行っていたそうである。椅子とテーブルが置かれているが、七宝焼は明治時代の有数な輸出品の一つだったようで(九谷焼もその一つ)、明治時代に、海外から七宝焼を購入するために訪れる外国人客もいたようである。

お庭の様子は写真を中心に紹介します。

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自然石をくり抜いて作ったとおぼしき手水鉢。粋を感じる。

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植治の庭には「伽藍石」というのがよく見られるのだが、いわゆる寺社建築で用いる礎石である伽藍石を景石としてあしらうのが好みだったようである。

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無鄰菴などと違って、お庭自体は純和風のお庭で、芝生は用いていない。

この庭の一番の特徴は、庭の中心に大胆に池を配置しているところだと思う。

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京都にある植治の庭の多くは、琵琶湖疎水から水を引き込んで池や遣水をあしらっているが、この庭も琵琶湖疎水から水を引き込んで池を造営している。

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池の中央に島まである。

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個人的に一番感心したのがこの演出。

驚いたのは、池の範囲が建物の下にまで及んでいることと、建物の礎石として自然石をそのまま置いてあることである。こういう演出は建築や土木の人間はまずしない。いかにも造園修景的だなあと思う。

ここの場合は庭もさることながら、町家建築としても非常に立派なので、建物を見学するだけでも一見の価値はあると思います。

植治の庭探訪(2)御所西京都平安ホテル日本庭園

週末の3日間は研修で京都にいたが、なにげに京都で宿を取るのは久しぶりだったりして。ちなみに4年前に2度宿泊したが、当時京都市内でほとんど宿が空いていない状態で、仕方なくゲストハウスに1泊、昔ながらの和風旅館(素泊まり)に1泊した。めちゃくちゃ安かったのだが、ペラペラのせんべい布団しかなくて、体調を悪くして帰ったのを覚えている。快適さだけで言えば、カプセルホテルの方が断然良い。

今回は、前回の反省も踏まえて1ヶ月前に予約したのだが、ホテルの場所が微妙に悪くて、結構京都市内をタクシー移動したものだから無駄にお金かかったねえ。烏丸今出川から左京区(北白川)への交通手段がないというのが痛かった。

じゃあ、どうしてこのホテルを選んだかというと、いろいろあるのだが、安かったこと、大浴場があるということ(これ大事)、そして御所の横にあるというロケーションが気に入ったこと、そんなところだろうか。

烏丸通りの様子。奥の緑に囲まれた場所が京都御苑。

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蛤御門の変で知られる蛤御門。

あと、烏丸丸太町から烏丸今出川にかけては、明治期以降に作られた近代建築が数多く残っているのがよい。

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大丸ヴィラ(ヴォーリス建築、1932年竣工)

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日本聖公会 聖アグネス教会(J・M・ガーディナー設計、1898年竣工)

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同志社大学今出川キャンパス

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少し離れたところには京都府庁もある(明治37年竣工)

そんな烏丸通り界隈だが、今回泊まったのは、「御所西京都平安ホテル」。

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実はこのホテルには、植治こと7代目小川治兵衛が手がけた庭園がある。

以下引用するが、公家屋敷の庭園として江戸時代に造られた池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の代表的な名園で、広さは約500坪ある。
日本庭園の作庭で名高い小川治兵衛氏の手により改造された。 庭園の中央の池には石橋が架かり、滝が流れ落ちまた築山をもうけ、四阿(あずまや)を配し、周辺との見事な調和を保っている。 また京都名産の鞍馬石や加茂川石、白川石などが要所に使われ、これらがひとつになって素晴らしい景観を呈している。

日本庭園|御所西 京都平安ホテル

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ロビーからの眺め

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植治の庭には手前に芝生広場が設けられていることが多い。

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石橋は地元の白川石が用いられている。

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池の奥にある四阿と雪見灯籠。

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井筒から水があふれ出てせせらぎを作っている様が泉が湧いているようでなかなかにくい演出である。

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無鄰菴でもそうだったが、遣水の流れが非常に浅い。

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飛石は鞍馬石が用いられている。

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四阿とその向かいにあるつくばい。四阿の壁にベンガラがあしらわれているのが景色にインパクトを与えている。

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敷地の奥には築山が設けられ、滝から水が流れている。

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庭の奥からホテルを望む。

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個人的に見た植治の庭の良さは、芸が細かいところというか、繊細さから来る上品さが感じられるところだろうか。特に飛び石や水景(滝からの流れなど)にそれが現れているような気がする。あとは和風庭園でありながら庭全体が明るいところ(芝庭を設けているのもそのためだと思うが)が好印象かなと思う。

なお宿泊料金であるが、筆者が予約したときは平日(金曜)7,000円だった。時期的に8月下旬だったからこれだけ安かったのかわからないが、7,000円でこれだけのホテルに宿泊できるのであれば不満はない。ここ数年京都では空前のホテル建設ラッシュで、ホテルに若干余裕ができたのもあるかもしれない。

植治が手がけた庭園のあるホテルで言えば蹴上にあるウェスティン都ホテルが有名だが、ここはある意味穴場ではないかと思う。植治の庭に興味のある人は一度宿泊することをおすすめします。

 

過去のブログで無鄰菴について記載しています。

 

※追記(2022.5.19)

ニュースによると何でも6月末で閉鎖するとのこと。いろいろ揉めているようだけど、これほど立派な庭園を有するホテルの廃業は残念です。

 

ラコリーナ近江八幡はなかなかすごかった

昨日は朝からとてもよい天気だったので、急に思い立ちドライブ。  

 特に行き先は決めていなかったが、なんとなく琵琶湖に行きたくなった。

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木之本でICを降りて、湖岸道路をのんびり進む。

この辺りは琵琶湖の特徴であるヨシ原とハンノキ林の景観が続く。何気にこの景色を見るのも久しぶりかもしれない。

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早朝に福井を出て時間がたっぷりあったので、湖岸道路をそのまま進み、久しぶりに近江八幡方面に向かった。

近江八幡にあるラコリーナ近江八幡はなかなかすごい、と噂に聞いていたので行ってみることにした。

前から気になっていたのだが、どこぞの会社の敷地だと思っていて、一般の人は入れないと勘違いしていたのだが、普通に誰でも入れる建物だったみたい。

taneya.jp

 お菓子屋さんだったみたいで、もっと早くいけばよかった。

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 駐車場からアラカシの生垣をくぐると・・

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建築家というよりは建築史家として知られる藤森照信氏設計のメインショップが目の前にドーンと。

キノコみたいな四阿といい、絵本の世界に入ったような錯覚を覚える。

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 和のテイストは感じながらも洋風なデザインが良い。

夏になると緑の屋根が広がるのだろうが、また、春先のこの枯れた風合いはこれはこれで風情があってよい。

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 前庭一面に広がるのはオカメザサ。

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草屋根と呼ばれるこの屋根だが、通常屋上緑化というと相当難易度が高く、どうやって施工したのかが気になったのだが、たねやのブログにて施工風景が掲載されたのを見て大変勉強になった。というのも、緑化するというのは、屋根の上に植栽基盤がないと緑が育たないわけで、土や肥料、水がないと緑が生育できないし、屋根の防水・漏水対策や根腐れ対策など、屋上緑化にはクリアする条件が多く普通はまねできないと思うのだが、ここの場合は、植生マットの上に肥料の入った人工土壌と張芝を重ねて屋根の上に張り合わせて作ったようだ。屋根にみられるピンのようなものは張芝が落ちないようにしているものなのだろう。詳細はラ コリーナ日誌を参照。

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 雁木みたいな下屋と、クリの木の柱。

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個人的には壁もすごく気になった点で、現地で見たときは本当に土壁なのか半信半疑だった。調べてみると、モルタルの壁の上に、地元の粘土と藁を混ぜて作ったものを塗りこんだとのこと。

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 屋内のようす。最近は屋内の風景を写真に収めることができない場所も増えているが、ここはOKでした。バウムクーヘンと和菓子の工場兼直売所となっている。

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しかしこの建物は屋内もいろいろ見るべきところがたくさんあって、逆に落ち着かない(笑)。吹き抜けの天井部分の黒いゴマ粒みたいなデザインが気になってしょうがない。

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 パッと見わからなかったのだが、炭らしい。

たねやのホームページを見ると、ラコリーナ近江八幡のシンボルは「アリ」だそうで、アリを表現したということか?

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実は先日メタボ検診を受けたばかりで食事制限しろと言われたばかりなのだが、さすがにお菓子屋にきて何も食べないわけにはいかないので、2階のカフェでバウムクーヘンとコーヒーを注文。

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 ネット用語で「草生える」という表現があるが、ここはテーブルの上に草が生えている

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この照明もおしゃれだねー。

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階段の反対側にもカフェスペースがあるが、吹き抜けのゴマ粒がいいアクセントとなっている。

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個人的にはこの窓が非常に気に入った。木枠の窓とアンティークなガラス。厚くてゆがみがあるガラス面の効果で、窓に注がれる光に模様がついている。

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 厨房(工場?)に続く入り口もトンネルっぽくてかっこいい。

なあ、なんというか、建物を見てこれだけわくわくしたのはいつ以来だろうか、知人から見に行ったほうが良いといわれるだけの場所だった。

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いっぱい写真を載せたのだけど、まだこれはメインショップだけなので、園内全体については次回紹介します。

東本願寺渉成園(枳殻邸)

※2019.9更新

ブログ復帰第2弾です。

これは、京都駅前にほど近いところにある、東本願寺渉成園の庭園の写真です。

5年以上前の写真なのだが、ブログに投稿しようとして、下書きのままだったので、もったいないのでアップします。

大学時代を含めて京都には結構足を運んでいるはずだけど、まだまだ知らないところがあって、ここも正直知らない場所でした。このころに名人戦の対局場として使われて初めて知りました。地図を見ていてなんだろうとは思っていましたが・・

いわゆる池泉回遊式庭園なのだけど、京都タワーが借景になっていて、結構マッチしているような気がしました。

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烏丸通り(東本願寺前)から京都駅方面を望む。京都駅からすぐ近くにある。

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涉成園は、東本願寺の飛地境内地(別邸)である。東本願寺十三代宣如上人が徳川家光から土地を寄進され、自らの隠居所とした場所と言われている。周囲に枳殻(からたち)の生け垣を植えたことより、枳殻邸(きこくてい)とも呼ばれている。

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最初に目にするのが高石垣。城郭の遺構というわけではないらしい。

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訪れたのが3月で、紅梅・白梅が見頃だった。

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園内の流れは、かつては高瀬川から引いていたとのことだが、幕末の大火(蛤御門の変)以降寺社境内地の防火対策の一環として、琵琶湖疎水から東本願寺にかけて水道が敷設され、涉成園の水もそこから導水しているそうである。

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園内のシンボルというべき傍花閣(ぼうかかく)。

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京都タワーを背景に侵雪橋(しんせつきょう)を望む

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奥に見える建物が漱枕居(そうちんきょ)

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池を渡るための石橋が景色にほどよいリズム感を与えている。

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涉成園の中心的建物である閬風亭(ろうふうてい)。建物と池の間に大きな芝庭があり、明るく開放感のある場所となっている。来訪当日は雨模様だったので雰囲気が伝わらず残念。

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閬風亭から望む庭の様子。手前の大きな池は印月池といい、月が水面に映る様を愉しんだとのこと。また、江戸時代には庭の奥まで船で移動していたそうである。

なお庭の奥の築山になっている箇所は、安土桃山時代に秀吉が御土居を築いたものを活用したといわれている。

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滴翠軒(てきすいけん)。水面にせり出すように濡れ縁が造られているのが特徴的である。

ちょうど10年前(2009年)に、名人戦と竜王戦の対局が涉成園で行われているのだが、おそらく滴翠軒か閬風亭のいずれかで行われていると思われる。

※第67期名人戦第6局(羽生名人-郷田九段戦)2009年6月15.16日

※第22期竜王戦第3局(渡辺竜王-森内九段戦)2009年11月10.11日

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回掉廊(かいとうろう)。

京都には屋根の架かった木橋が数多く存在する。

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京都だと、まだ行ったことのない場所が多数あり、当面行きたいと思うのが、黒谷真如堂のあたりと、岩倉圓通寺の2か所ですか。

当然ながら、4年間のうちにいろんな場所に行っているので、写真だけでもいろいろ掲載したいと思います。 

神戸女学院キャンパス

※2019.7更新 

3年9か月ぶりにブログ再開します。

約4年空いたのだが、ログインできなくなってしまい、ブログをやむなく放置していたのだが、昨日たまたま入力したら開くことができたので、大分年月も経ちましたが再開したいと思います。

写真は2014年4月に訪れた神戸女学院キャンパスです。女子大ということで、本来男性一人では入れないようなのだが、守衛の方に特別に許可して入れてもらいました。

ヴォーリス建築の代表的なものであり、建築群として重要文化財に指定された場所であります。

久しぶりに文章を書くので(あまり文章が進まないのもあるが)、しばらくは文章は少なめで、写真中心で掲載したいと思います。(気になる個所については後日追記するかもしれません)

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キャンパスマップ(出典:神戸女学院大hp)

http://www.kobe-c.ac.jp/foundation/nicp/

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大学正門

桜が満開でないのが残念。

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音楽館

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音楽館からデフォレスト記念館の間を抜ける散策路
岡田山という山の上にキャンパスがあるのだがキャンパス内および周辺には非常に豊かな緑に囲まれている。

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文学館

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文学館とデフォレスト記念館を結ぶ通路(コリドー)

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緑の多いキャンパス

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「キャンパスで出会える野鳥たち」を紹介する看板まである。
キャンパス内が里山の中にあるといった感じである。 

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この庭園が非常に色鮮やかで美しいのだが、「シェイクスピアガーデン」という庭園で、シェイクスピアが作品の中で言及した約160種類の植物のうち、日本の気候・風土に合う100種余の植物が集められ、開園したとのこと。

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アンジー・クルー記念館

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文学館

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理学館

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図書館(中庭と噴水を背景に)

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総務館

キャンパスの中央に位置する中庭を囲んで、噴水を中心に四方にそれぞれ文学館、理学館、図書館、総務館が向き合っている。

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建物と建物を結ぶ回廊(コリドー)がランドスケープ上重要な役割を果たしている。

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講堂

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葆光館(中学部高等部校舎)

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キャンパス奥にあるグラウンド

キャンパス全体がアンバー(黄土色)の外壁、オレンジの瓦屋根、スクラッチタイルによるスパニッシュ・ミッション様式でまとめられ、キャンパスのランドスケープデザインも非常に優れています。関西学院大キャンパスも同じくスパニッシュ・ミッション様式であるが、神戸女学院のほうが女学校らしさを感じます。

 

※2019追記

神戸女学院大では、重要文化財ヴォーリス建築の一般公開を行っているようです。

www.kobe-c.ac.jp